2019年

徒然草 第三十八段

名利に使はれて、しづかなるいとまなく、一生を苦しむるこそ、愚かなれ。 (名誉や利益に追いたてられえて、身心のしずかなひまもなく、一生を苦しむのは、実にばかげたことである。) 財多ければ身を守るにまどし。 (財産が多いと一身を守るのに事欠く。) 害をかひ、累ひを招くなかだちなり。 ((財産というものは)害を受け、面倒な問題を招く媒介である。) 身の後には金をして北斗をささふとも、人のためにぞわづらは […]

徒然草 第二十五段

飛鳥川の淵瀬常ならぬ世にしあれば、時移り、事さり、楽しび・悲しびゆきかひて、花やかなりしあたりも、人すまぬ野らとなり、変わらぬ住家は人あらたまりぬ。 (飛鳥川の淵と瀬が変わりやすいように定めない世の中であるから、日時が移り、物事が流れ去り、楽しみと悲しみが交互に行き来して、昔ははなやかに栄えていた所も、(いつしか)人の住まない野となり、(昔と)変わらない住家は住む人が変わってしまっている。) 桃李 […]

徒然草 第十八段

人は己をつづまやかにし、奢りを退けて、財をもたず、世をむさぼらざらんぞ、いみじかるべき。 (人は自分の身を質素にし、ぜいたくをしりぞけて、財宝を持たず、世俗的な欲望をしいて持たないのがすばらしいことである。) 昔より、賢き人の富みるは稀なり。 (昔から賢人が富んでいたことはめったにない。) 唐土に許田と言ひつる人は、さらに身にしたがへる貯へもなくて、水をも手して捧げて飲みけるを見て、なりひさこと言 […]

徒然草 第十段

家居のつきづきしく、あらまほしきこそ、仮の宿りとは思へど、興あるものなれ。 (すまいがしっくりと調和がとれていて、好ましいのは、(この世における)一時の宿とは思っても、やはり興味のあるものである。) よき人の、のどやかに住みなしたるところは、さし入りたる月の色も、ひときはしみじみと見ゆるぞかし。 (身分が高く教養のある人が、ゆったりと静かに住みついている所は、さしこんでいる月の光も、一段と深く心に […]

徒然草 第七段

あだし野の露消きゆる時なく、鳥部山の煙立ちされでのみ、住みはつるならひならば、いかに、もののあはれもなからん。 (あだし野の露が消える時がなく、鳥部山の煙が立ち去ることがない(ように人が死なないで永久にこの世に)住みおとせるならわしであるとしたならば、どんなにか、ものの情趣もないことであろう。) 世はさだめなきこそ、いみじけれ。 (この世は無常であるというのが、すばらしいことなのである。) 命ある […]