[編集部作成]2026年度のIPA高度試験は、従来の「午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱ」から「科目A-1・科目A-2・科目B-1・科目B-2」へ名称が変わり、CBT方式で実施されます。本記事では、各科目の役割、時間、出題形式、学習方法の違いを整理します。

本記事は2026年度の現行制度を基準にしています。2027年度から新試験制度へ移行予定のため、受験年度のIPA公式情報を必ず確認してください。

科目名はどう変わったのか

CBT方式への移行に合わせて、従来の午前・午後という名称が科目A・Bへ変更されました。過去問題や古い教材では旧名称が使われているため、次の対応を知っておくと読み違いを防げます。

2025年度までの主な呼び方2026年度の呼び方役割
午前Ⅰ科目A-1高度試験に共通する基礎知識
午前Ⅱ科目A-2試験区分ごとの専門知識
午後Ⅰ科目B-1事例を読む記述式
午後Ⅱ科目B-2長い事例の記述式または論述式

名称が変わっても、2026年度については試験時間や従来の免除制度を継続する予定とIPAが案内しています。ただし、申込時の手続や適用条件は公式案内で確認してください。

全体の試験時間

科目時間基本的な形式確認する力
科目A-150分多肢選択式・30問IT全般の共通知識
科目A-240分多肢選択式・25問選択区分の専門知識
科目B-190分記述式事例の読解と状況に応じた判断
科目B-2120分記述式または論述式専門的な分析、設計、判断の説明

科目B-1とB-2の出題数・解答数、科目B-2の形式は試験区分によって異なります。学習を始める前に、受験する区分の公式ページを確認してください。

科目A-1:高度試験に共通する知識

科目A-1では、テクノロジ、マネジメント、ストラテジを含む共通的な知識を多肢選択式で確認します。専門区分に直接関係しない分野も出題対象になるため、得意分野だけでは対応しにくい科目です。

過去問題を解き、正答率だけでなく、ネットワーク、データベース、セキュリティ、開発、プロジェクト管理、経営など、どの分野で失点しているかを記録します。全範囲を同じ時間で学び直すより、誤答が集中する分野から戻る方が効率的です。

免除制度を利用できる場合がありますが、条件や申請方法を自己判断せず、受験年度のIPA案内を確認しましょう。

科目A-2:区分ごとの専門知識

科目A-2では、STなら経営・IT戦略、NWならネットワーク、DBならデータベース、PMならプロジェクトマネジメントというように、各試験区分の専門知識が中心になります。問題数は科目A-1より少ない一方、専門用語や判断基準を正確に理解する必要があります。

学習では、過去問題の正解を暗記するだけでなく、各選択肢がなぜ正しいか、なぜ誤りかを説明できる状態を目指します。シラバスを索引として使い、知らない用語や制度を公式資料・教材へ戻って確認すると、知識を体系化しやすくなります。

科目B-1:事例文から根拠を探す

科目B-1は、長い事例文、構成図、表、条件などを読み、設問へ短い文章で答える記述式です。一般論として正しい内容でも、事例の条件や設問の対象から外れていれば得点につながりにくくなります。

解くときは、最初に設問が求める対象と答え方を確認し、事例文の該当箇所へ印を付けます。「誰が」「何を」「なぜ」「どの条件で」という要素を揃え、本文の表現を使いながら指定字数へ収めます。

復習では模範解答との差だけでなく、自分が根拠を見落としたのか、専門知識がなかったのか、問い方を読み違えたのかを分けて記録すると改善点が明確になります。

科目B-2:記述式と論述式がある

科目B-2は、試験区分によって形式が異なります。ネットワークスペシャリスト(NW)とデータベーススペシャリスト(DB)は、長い技術事例を扱う記述式です。構成や条件を読み取り、専門知識を使って具体的に答えます。

ITストラテジスト(ST)、システムアーキテクト(SA)、プロジェクトマネージャ(PM)、エンベデッドシステムスペシャリスト(ES)、ITサービスマネージャ(SM)、システム監査技術者(AU)は論述式です。自分の経験または設問に合う具体的な事例を基に、背景、課題、判断、実施内容、評価を一貫した文章にします。

論述式では、経験が豊富でも設問の要求から外れると評価されにくくなります。用意した論文をそのまま再現するのではなく、設問ごとに必要な部分を選び直す練習が必要です。

支援士の科目Bは構成が異なる

情報処理安全確保支援士試験(SC)は、高度試験と同様に科目A-1・A-2がありますが、その後は科目B-1・B-2に分かれず、150分の科目B記述式を実施します。4問から2問を選んで解答する構成です。

セキュリティの事例から脅威、脆弱性、リスク、対策、インシデント対応などを読み取ります。高度試験の論文準備とは異なり、長い事例を正確に読み、根拠に基づく短い記述を積み重ねる練習が中心です。

2026年度CBTでの受験順と実施期間

科目A-1とA-2、科目B-1とB-2は同じ日に続けて受験し、それぞれの間に最長10分の休憩を取得できます。一方、科目A群と科目B群は別の実施期間です。申込み時に両方を同時に予約する予定です。

実施区分対象試験科目A群科目B群
前期ST、SA、NW、SM、SC2026年10月17日〜10月27日2026年11月11日〜11月23日
後期PM、DB、ES、AU、SC2027年2月20日〜3月2日2027年3月16日〜3月28日

SCの科目BはB-1・B-2に分かれません。通年試験ではないため、受験区分の申込受付期間、会場、予約枠をIPAの最新案内で確認してください。

4科目をどういう順番で勉強するか

  1. 最初に全科目を少量解く:科目Aの知識不足と、科目Bの読解・記述不足を分けます。
  2. 科目A-2で専門分野の土台を作る:科目Bを読むために必要な用語と考え方を固めます。
  3. 科目Bを早く始める:知識が完成するまで待たず、事例文と設問形式に慣れます。
  4. 科目A-1は弱点分野を反復する:広い範囲を毎回最初からやり直さないようにします。
  5. 論述式は題材を複数用意する:目的、役割、判断、結果を論点別に整理します。

科目Aだけ、科目Bだけに偏ると、後で必要な練習量に気付いて計画が崩れやすくなります。週単位で知識問題、事例問題、論文を並行させる方が現在地を把握しやすくなります。

古い教材・体験記を読むときの注意

2025年度以前の教材や体験記では、「午前Ⅰ」「午前Ⅱ」「午後Ⅰ」「午後Ⅱ」という名称や、筆記試験を前提とした時間配分が使われています。出題内容の学習に役立つ資料でも、2026年度の申込方法、実施日、CBT操作まで同じとは限りません。

体験記は受験当時の制度を示す一次情報として読み、現在の試験方式はIPA公式案内で確認してください。特に2027年度以降は新制度へ移行予定のため、過去の受験手順をそのまま使わないことが大切です。

受験前の確認チェックリスト

  • 受験区分の最新シラバスと試験要綱を確認したか
  • 科目B-2が記述式か論述式かを確認したか
  • 科目ごとの出題数・解答数を確認したか
  • 免除を利用する場合、条件と申請方法を確認したか
  • 申込期間と科目A群・B群の受験期間を確認したか
  • CBT操作や休憩を含めた当日の流れを確認したか

科目形式から勉強法記事へ進む

科目Bの中心形式対象区分関連する勉強法
科目B-1記述+B-2論述ST、SA、PM、ES、SM、AUSTSAPMESSMAU
科目B-1・B-2とも記述NW、DBNWDB
150分の科目B記述SCSC

同じ科目名でも、対象区分によって問われる専門知識と事例の種類は異なります。まず高度試験8区分と支援士の比較で役割を絞り、その後に各勉強法記事へ進んでください。

科目別に記録する復習項目

科目点数以外に残す記録
科目A-1間違えた共通知識の分野、迷った選択肢、復習日
科目A-2専門用語の不足、計算・判断手順、科目Bとのつながり
科目B-1設問の要求、本文の根拠、主語・対象・条件の不足
科目B-2(記述)図表・条件の読み落とし、解答の根拠、時間配分
科目B-2(論述)題材、役割、課題、判断理由、行動、結果、評価

正解・不正解だけを記録すると、同じ原因で間違えたのか、新しい原因なのかを区別できません。科目ごとに復習項目を変え、次に同じ形式へ取り組む際の確認手順を作ります。

まとめ

科目A-1は共通知識、A-2は専門知識、B-1は事例読解、B-2は専門的な記述または論述を確認する科目です。名称だけでなく、各科目が測る力と自分の不足を分けて考えると、学習計画を作りやすくなります。

科目名称、試験時間、CBTでの実施方法については、IPA「CBT方式での実施について」2026年度の実施期間・試験時間を確認してください。