ITストラテジスト試験とは?試験内容・対象者・2027年度の制度移行

[編集部作成]ITストラテジスト試験(ST)は、経営戦略とIT戦略を結び付け、事業の変革や新しい製品・サービス、情報システムの方向性を構想する力を確認する高度試験です。本記事では、IPAが公表している2026年度の情報を基に、試験内容、対象者、応用情報技術者試験との違い、2027年度の制度移行を整理します。
制度や日程は変更される場合があります。受験前には、必ずIPAの試験案内と最新のお知らせを確認してください。
ITストラテジスト試験とは
ITストラテジスト試験は、経営方針や事業環境を踏まえ、ITを活用した事業戦略・業務改革・製品やサービスの企画を立案し、実行を主導できる人材を対象とする試験です。技術そのものの知識だけでなく、「なぜその投資が必要か」「どの課題をどう改善するか」「効果をどの指標で確認するか」を経営・業務の言葉で説明する力が求められます。
情報システム部門だけでなく、事業企画、DX推進、プロダクト企画、ITコンサルティングなど、事業とITの間をつなぐ仕事と関係します。将来CIO・CTOの立場でIT戦略を担いたい人にとっても、学習範囲を体系化しやすい試験です。
想定される対象者と業務
IPAは、高度な専門知識を活用し、経営戦略に基づくIT戦略の策定や、事業改革・高度化・最適化を主導する人材を想定しています。実務では、次のような業務と関係します。
- 市場、顧客、競合、自社の強みを分析し、事業課題を明らかにする
- 経営戦略に沿ってIT投資の目的、優先順位、ロードマップを整理する
- データやデジタル技術を使った新製品・新サービスを企画する
- 業務プロセスを可視化し、システム化を含む改革案を立案する
- 投資額、期待効果、リスク、実現可能性を比較して意思決定を支援する
- 経営層、事業部門、開発・運用部門の合意形成を進める
- 実施後のKPIや成果を評価し、戦略や計画を見直す
プログラミング能力を直接測る試験ではありません。ただし、システムの特性や開発・運用上の制約を理解したうえで、現実的な戦略へ落とし込む必要があります。
2026年度の試験構成
2026年度はCBT方式で実施される予定です。現在公表されている科目構成は次のとおりです。
| 科目 | 時間 | 出題・解答 | 形式 |
|---|---|---|---|
| 科目A-1 | 50分 | 30問出題・30問解答 | 多肢選択式 |
| 科目A-2 | 40分 | 25問出題・25問解答 | 多肢選択式 |
| 科目B-1 | 90分 | 3問出題・2問解答 | 記述式 |
| 科目B-2 | 120分 | 2問出題・1問解答 | 論述式 |
科目A-1は情報処理技術者としての共通知識、科目A-2はストラテジ分野の専門知識が中心です。科目B-1では事例文を読み、状況や課題に沿った解答を記述します。科目B-2では、自分が関わった業務経験などを題材に、設問の要求に沿って論文を構成します。
選択式、記述式、論述式では必要な準備が異なります。知識問題だけを仕上げてから論文へ移るのではなく、早い段階で科目B-2の設問を読み、自分が書ける事例を棚卸ししておくことが重要です。
科目B-1とB-2で問われること
科目B-1では、事業環境、組織の課題、システムの状況などを読み取り、本文に即して理由や施策を説明します。一般論を長く書くよりも、設問が指定した対象と、事例文に示された根拠を結び付ける力が必要です。
科目B-2では、問題文が求める立場、背景、課題、実施内容、工夫、評価を一貫した筋道で書きます。技術的に大規模な経験であることより、自分がどのように分析し、関係者と調整し、結果を評価したかを具体的に説明できることが大切です。題材候補ごとに、目的・課題・施策・効果・残った課題を整理すると論文練習を進めやすくなります。
応用情報技術者試験との違い
応用情報技術者試験(AP)は、技術、マネジメント、ストラテジを幅広く扱う試験です。ITストラテジスト試験は、その中でも経営戦略、事業戦略、IT戦略、業務改革、製品・サービス企画を深く扱います。
幅広いIT知識と実務能力を示したい場合は応用情報、経営や事業の視点からIT活用を構想・説明する専門性を伸ばしたい場合はITストラテジストが候補です。応用情報で基礎を固めた後に挑戦する経路もありますが、受験順は必須ではありません。
この試験が向いている人
- 経営企画、事業企画、DX推進、IT企画に携わっている人
- 業務部門の課題を整理し、システム化の構想を作る人
- ITコンサルタントとして提案や合意形成の力を高めたい人
- プロダクトやデジタルサービスの企画を担う人
- 将来、CIO・CTOやIT部門の責任者を目指す人
一方、まず開発・インフラなどの技術基礎を広く身に付けたい場合は、基本情報や応用情報から始める方法もあります。資格名の印象だけで選ばず、現在の業務と今後担いたい役割に合わせて判断しましょう。
向いているかを判断する4つの質問
- 技術の選定だけでなく、事業上の目的や投資効果まで説明したいか
- 業務部門とIT部門の間に入り、課題と要件を整理する仕事をしたいか
- 新規事業、業務改革、DXの企画を体系的に学びたいか
- 自分の経験を基に、意思決定の過程を論文として説明できるか
複数に当てはまるなら、ITストラテジストの学習内容と仕事の方向性が合いやすいでしょう。現時点で論文に使える経験が少ない場合でも、過去問題を通して求められる視点を知り、日々の業務を題材として記録する準備はできます。
学習を始める前に確認したいこと
- 最新のシラバスを読む:受験年度の出題範囲を確認し、古い教材だけに依存しないようにします。
- 科目Aの現在地を測る:過去問題を少量解き、共通知識とストラテジ専門知識の弱点を分けます。
- 科目B-1の根拠探しを練習する:設問の要求と事例文の記述を対応させます。
- 論文の題材を棚卸しする:担当業務、課題、役割、施策、結果を複数の題材で整理します。
- 受験年度の方式を確認する:CBTの実施方法や新制度の案内は公式情報を基準にします。
2027年度の制度移行に注意
IPAは、2027年度から情報処理技術者試験を新制度へ移行する予定を案内しています。受験機会、実施方式、科目、免除制度などの詳細は、今後の公式発表によって更新される可能性があります。
2026年度中に受験する人は2026年度の試験案内を、2027年度以降に受験する人は新制度の案内を確認してください。過去の教材や体験記に書かれた実施方式を、将来の試験へそのまま当てはめないことが大切です。
まとめ
ITストラテジスト試験は、IT知識に加えて、経営や事業の課題を分析し、ITを使った変革を構想・説明する力を確認する試験です。科目Aの知識、科目B-1の事例読解、科目B-2の論文を分けて準備し、自分の業務経験を戦略の視点で整理していきましょう。
最新の試験概要・実施方式・制度移行については、IPA「ITストラテジスト試験」公式ページを確認してください。
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試験の概要を確認した後は、学習の進め方と実際の受験記録を読み比べると、自分に必要な準備を考えやすくなります。



