[編集部作成]ITストラテジスト試験(ST)は、科目A-1・A-2の知識問題、科目B-1の記述問題、科目B-2の論述問題で構成されます。経営用語や分析手法を覚えるだけではなく、事業上の課題を見つけ、ITを使った施策へ落とし込み、実現性・リスク・効果を説明する力が必要です。

この記事では、2026年度の試験構成を基準に、科目別の勉強方法、事例問題の読み方、論文題材の整理、過去問題の復習方法をまとめます。実際の受験記録はITストラテジストの体験記一覧、他区分との違いは高度情報処理技術者試験の比較で確認できます。

最初に4科目を見て学習課題を分ける

参考書を読み切ってから記述・論文へ進むのではなく、学習開始時に各科目の過去問題を少量ずつ確認します。知識不足、事例の読み取り、短文記述、論文題材、時間配分のどこに課題があるかを分けるためです。

科目2026年度の形式確認する力
科目A-150分・30問IT全般の共通知識
科目A-240分・25問経営戦略・IT戦略の専門知識
科目B-190分・3問中2問事業事例の分析と短い記述
科目B-2120分・2問中1問経験を基にした論述

初回の誤答は、「用語を知らない」「数値を読めない」「課題と原因を混同した」「施策と効果がつながらない」「本文にない前提を足した」に分類します。この結果から、科目ごとの学習量を決めます。

事業目的からIT施策までの流れを理解する

ITストラテジストの学習では、技術から考え始めず、事業目的、外部・内部環境、課題、原因、戦略、IT施策、実行計画、評価指標の順に整理します。

  1. 事業の目的と顧客価値を確認する
  2. 市場、競合、顧客、業務、資源の現状を分析する
  3. 目標との差から課題と原因を特定する
  4. 複数の施策を比較し、ITを使う理由を示す
  5. 実行条件、リスク、体制、費用を検討する
  6. KPIや事業成果で評価する

この流れを持つと、科目A-2の分析手法が何のために使われるのか、科目Bでどの情報を拾うべきかが明確になります。

科目A-1は専門外の弱点だけを補う

科目A-1はテクノロジ、マネジメント、ストラテジを含む共通知識を扱います。経営分野が得意でも、ネットワーク、データベース、セキュリティ、開発管理などに弱点があれば確認が必要です。

複数回分の過去問題を解き、分野別の正答状況を記録します。誤答が集中した分野だけ参考書へ戻り、正解・不正解の理由を説明できるまで繰り返します。

科目A-2は分析手法を使う場面と結び付ける

科目A-2では、経営戦略、マーケティング、業務改革、IT戦略、システム化計画、投資評価、組織、会計、法務、技術動向などを確認します。フレームワークの名称と構成要素だけを暗記せず、どの問いに答えるための手法かを整理します。

観点確認する問い
環境分析外部の機会・脅威と内部の強み・弱みは何か
顧客価値誰のどの課題をどの価値で解決するか
業務改革現状のどの制約・非効率を変えるか
投資評価費用、効果、リスク、回収をどう比較するか
実行管理誰が、いつまでに、どの指標で進めるか

数値は計算より意思決定での意味を確認する

売上、利益率、損益分岐点、投資回収、顧客単価、継続率、生産性などの数値は、式を覚えるだけでは不十分です。期間、対象範囲、比較基準、前提条件が変われば判断も変わります。

過去問題で数値が出たら、何を測る指標か、改善するとどの事業目標へ影響するか、別の指標に悪影響がないかを確認します。KPIを多く並べるより、施策と因果関係のある指標を選ぶ練習をします。

科目B-1は設問と経営課題から読む

科目B-1では、企業の事業環境、顧客、競合、業務プロセス、情報システム、経営者や部門の発言、数値資料などが示されます。先に設問を読み、対象となる事業、時点、立場、答える内容を確認します。

  • 企業が達成したい事業目的
  • 顧客や市場の変化
  • 現行業務・システムの制約
  • 課題の原因を示す数値や発言
  • 施策を実行できる資源・体制
  • 施策後に測る成果

「課題」「原因」「狙い」「施策」「効果」を混同しないことが重要です。答案は設問の言葉に合わせ、本文にある固有の条件を含めて作ります。

施策は技術名ではなく変化する業務まで書く

AI、クラウド、データ分析などの技術名を書くだけでは、事業課題への答えになりません。誰のどの業務や意思決定が変わり、その結果として顧客価値、売上、コスト、品質、速度の何が改善するのかをつなげます。

複数案を比較する場合は、効果だけでなく、実現期間、必要データ、人材、既存システムとの整合、セキュリティ、法令、移行リスクも確認します。

科目B-2は題材を戦略の流れへ分解する

科目B-2の準備では、完成論文を一つ暗記するより、複数の経験を題材カードへ整理します。事業企画の責任者でなくても、業務改善、システム企画、顧客提案、データ活用、プロジェクト選定、投資評価などに関わった経験を、実際の担当範囲で棚卸しできます。

項目整理する内容
事業・組織顧客、提供価値、競争環境、目標
自分の役割担当範囲、権限、関係者
課題現状、原因、放置した場合の影響
戦略・施策選択肢、判断基準、ITを使う理由
実行体制、段階導入、合意、リスク対策
評価KPI、事業成果、残課題、次の改善

担当していない経営判断や成果を、自分の経験として作らないことが前提です。自分が提案・分析・調整した範囲と、経営者や責任者が決定した範囲を分けて書きます。

論文では判断と事業効果を具体化する

背景説明が長くなり過ぎると、自分の判断と行動を書く字数が不足します。問題文で指定された論述項目を骨格にし、課題、分析、選択肢、採用理由、実行、評価を配置します。

「ITを導入して効率化した」で終わらせず、対象業務、変更内容、利用データ、関係部門、測定指標を具体化します。期待効果だけでなく、実施後に確認した事実と残った課題まで書ける題材が使いやすくなります。

過去問題は3段階で使う

  1. 構造を知る:時間を測らず、設問と本文・解答例の対応を確認する
  2. 根拠を取る:課題、原因、施策、効果の根拠へ印を付ける
  3. 本番を再現する:問題選択、記述、見直しまで時間内で行う

採点講評がある年度は、一般論や技術中心に偏った答案と、問題文が求める事業視点との差を確認します。

学習計画は論文準備を初期から並行する

初期は科目A-2の知識と事業分析の流れを学びながら、論文題材を棚卸しします。中期はB-1の事例演習を増やし、題材カードを異なる設問へ組み替えます。直前期は本番時間で問題選択から見直しまで行います。

  • 初期:分野別診断、分析手法、題材候補の整理
  • 中期:B-1演習、論文骨格、数値・KPIの具体化
  • 直前期:時間内演習、問題選択、弱点の再確認

よくある学習の偏り

  • フレームワークの暗記だけで事例演習が少ない
  • 技術を導入すること自体が目的になっている
  • 課題、原因、施策、効果の因果関係が切れている
  • 一つの論文を異なる問題へ無理に当てはめる
  • 実際には担当していない経営判断を題材にする

2026年度と2027年度以降を分ける

2026年度のITストラテジスト試験はCBT方式で前期に実施され、科目A-1・A-2・B-1・B-2で構成されます。現行制度は2026年度で終了し、2027年度から新制度へ移行予定です。受験年度の方式・範囲はIPA「ITストラテジスト試験」公式ページで確認してください。

まとめ

ITストラテジスト試験では、事業目的、課題、原因、IT施策、実行、評価を一つの流れで説明できることが重要です。科目Bでは技術名や一般論に頼らず、本文や実務の事実から、なぜその施策が必要で、どの事業成果へつながるかを具体化しましょう。

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