[編集部作成]システムアーキテクト試験(SA)は、科目A-1・A-2の知識問題、科目B-1の記述問題、科目B-2の論述問題で構成されます。技術知識だけではなく、業務要求を整理し、機能・非機能要件へ変換し、制約の中でシステム方式を選んだ理由を説明する力が必要です。

この記事では、2026年度の試験構成を基準に、科目別の学習方法、要件・方式設計の読み方、論文題材の作り方、過去問題の復習方法をまとめます。受験者本人の記録はシステムアーキテクトの体験記一覧、他区分との違いは高度情報処理技術者試験の比較で確認できます。

最初に知識・事例・論文の現在地を確認する

科目A-2の学習を終えてから科目Bへ進むのではなく、最初に各科目の過去問題を少量ずつ見ます。用語不足、業務の読解、要件の整理、方式選択、短文記述、論文題材のどこへ時間が必要かを分けます。

科目2026年度の形式主な準備
科目A-150分・30問IT全般の共通知識
科目A-240分・25問要件定義・方式設計などの専門知識
科目B-190分・3問中2問事例から要件と設計根拠を読む
科目B-2120分・2問中1問開発経験を基にした論述

初回の誤答は「知識不足」「業務ルールの見落とし」「要件と手段の混同」「非機能要件の不足」「本文にない前提」「時間不足」に分類します。

業務要求から方式設計までの流れを持つ

システムアーキテクトの学習では、業務目的、現行業務、課題、利害関係者、機能要件、非機能要件、データ、システム方式、移行・運用の順に整理します。

  1. 業務目的と対象範囲を確認する
  2. 利用者、業務イベント、例外、現行課題を整理する
  3. 機能要件と非機能要件へ変換する
  4. 複数の方式を制約と評価基準で比較する
  5. 開発、テスト、移行、運用への影響を確認する
  6. 導入後の業務・システム効果を評価する

科目A-1は周辺技術の弱点を確認する

科目A-1は、ネットワーク、データベース、セキュリティ、開発、マネジメント、ストラテジなどの共通知識を扱います。アーキテクトは専門家の支援を受ける場合でも、技術リスクと全体影響を判断できる基礎が必要です。

複数年度を分野別に解き、誤答が集中した部分だけ参考書へ戻ります。他の選択肢がなぜ要件に合わないかまで説明できると、科目Bの方式比較へつながります。

科目A-2は技術を要件へ結び付ける

科目A-2では、要件定義、業務・データモデリング、システム方式、ソフトウェア設計、開発手法、テスト、移行、運用、セキュリティなどを確認します。用語を個別に覚えるより、どの要件に対して使う考え方かを整理します。

観点確認する問い
業務誰が、いつ、何を行い、例外は何か
機能入力、処理、出力、業務ルールは何か
非機能性能、可用性、拡張性、セキュリティの水準は何か
データ主体、関係、ライフサイクル、整合性はどうか
方式制約の中で、なぜその構成を選ぶか
移行・運用切替え、監視、障害、保守をどう成立させるか

非機能要件は測定可能な形にする

「高速」「高可用」「安全」といった表現だけでは方式を比較できません。応答時間、同時利用者数、処理件数、稼働時間、復旧目標、データ保持期間、認証・権限、監査記録など、測定・確認できる条件へ変換します。

数値が本文にない場合は勝手に補わず、どの条件を関係者へ確認すべきかを考えます。機能要件を満たしても、運用体制や移行時間に合わなければ方式として成立しません。

業務モデルは正常系だけでなく例外を読む

業務フローやユースケースでは、通常処理だけでなく、取消し、変更、重複、期限超過、権限不足、外部連携失敗などを確認します。例外処理は、データ整合性や業務継続に直結します。

登場人物、業務イベント、入力情報、判断条件、更新されるデータ、後続処理を表へ整理すると、長い事例でも要件を見失いにくくなります。

科目B-1は設問から必要な要件を逆算する

科目B-1では、業務、組織、現行システム、要求、制約、設計案、関係者の発言などが示されます。先に設問を読み、要件、理由、設計内容、確認事項のどれを答えるのかを確認します。

  1. 対象業務と利害関係者を確認する
  2. 本文から要求・制約・例外へ印を付ける
  3. 機能、非機能、データ、運用へ分類する
  4. 設計案がどの要件へ対応するか結ぶ
  5. 答案に本文固有の条件を含める

一般的に優れた技術を答えるのではなく、その事例で必要な方式を、業務や制約から説明します。

方式選択はトレードオフまで書く

クラウド、パッケージ、マイクロサービス、非同期処理など、方式名だけでは設計理由になりません。性能、可用性、拡張性、セキュリティ、開発期間、費用、運用体制、既存資産への影響を比較します。

採用案の利点だけでなく、追加で必要になる監視、データ同期、障害対応、教育、契約などを確認します。何を優先し、何を別の対策で補ったかを説明できるようにします。

科目B-2は経験を設計判断のカードへ分ける

科目B-2では、要件定義、システム方式、開発、移行、改善などの経験を論述します。完成論文を一つ暗記するより、複数の経験を題材カードへ分けます。

項目整理する事実
業務・システム目的、利用者、規模、重要性
自分の役割担当範囲、権限、専門家との関係
要件・制約業務、性能、品質、期間、費用
選択肢比較した方式と評価基準
判断・実施採用理由、調整、設計、リスク対策
評価テスト、導入効果、残課題

アーキテクトという肩書がなくても、要件整理、設計、レビュー、技術選定、移行、運用設計などに関わった経験を、実際の担当範囲で整理できます。担当していない意思決定や成果を作らないことが前提です。

論文は要件・判断・結果を一貫させる

背景や技術説明に字数を使い過ぎず、問題文が指定した論述項目へ、要件、選択肢、判断基準、採用理由、実施、評価を配置します。

「拡張性を考慮した」「関係者と調整した」といった抽象表現は、対象、条件、比較内容、合意方法へ分解します。採用した方式が、冒頭で示した業務目的と非機能要件へ最後までつながっているかを見直します。

過去問題は根拠と設計を対応させる

最初は時間を測らず、設問、本文の要求、解答例の対応を確認します。次に、要件と設計案を線で結び、自分の答案が一般論になっていないかを確認します。最後に本番時間で問題選択から見直しまで行います。

採点講評が公開されている年度は、題意と違う方式、具体性不足、技術説明に偏った答案などの傾向を確認します。

学習計画は論文題材を早めに用意する

初期は科目A-2の知識と要件整理を進めながら、論文題材の候補を出します。中期はB-1演習、方式比較、論文骨格を増やします。直前期は時間内演習と、設問へ題材を組み替える練習を行います。

  • 初期:分野別診断、要件・方式の整理、題材候補
  • 中期:B-1演習、非機能要件、論文骨格
  • 直前期:時間内演習、問題選択、具体性の確認

よくある学習の偏り

  • 技術用語の暗記だけで業務要求を読まない
  • 方式名を書いても、選択理由と制約がない
  • 正常系だけを考え、例外・移行・運用を落とす
  • 一つの論文を別の設問へそのまま当てはめる
  • 実際には担当していない設計判断を経験として書く

2026年度と2027年度以降を分ける

2026年度のシステムアーキテクト試験はCBT方式で前期に実施され、科目A-1・A-2・B-1・B-2で構成されます。現行制度は2026年度で終了し、2027年度から新制度へ移行予定です。受験年度の方式・出題範囲はIPA「システムアーキテクト試験」公式ページで確認してください。

まとめ

システムアーキテクト試験では、業務目的、機能・非機能要件、データ、方式、移行・運用を一貫して考えます。科目Bでは本文や実務の制約から設計案を比較し、なぜその方式を選び、どのように要件を満たしたかを具体的に説明できる状態を目指しましょう。

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