1. タイトル
官から民へ
2. ニックネーム
MX3631
3. 性別
男性
4. 最終学歴
大学卒
5. 転職前の業界
業種:官公庁系
職種:公務員・教員
雇用形態:正社員
年収:700万円
会社名:中央省庁
6. 転職後の業界
業種:小売・外食系
職種:事務・アシスタント
雇用形態:派遣社員
年収:400万円
会社名:派遣元:リクルートスタッフィング、派遣先:大手小売会社(本社)
7. 転職前は何をしていた?
大学卒業後、国や地方の公務員試験を日程上都合のつく限り受験し、合格して内定をもらえたところに一般行政事務職として就職した。元々、家族や親戚に公務員が多かったこともあり、民間企業への就職活動はあまり行わず、公務員になるものと考えていた。大学時代の友人も同じように公務員志望者が多く、それぞれで様々なレベルの試験を受けようと一緒に勉強していた。
22歳から49歳までの27年間、主に2年ごとのサイクルでの異動を繰り返し、毎年恒例の作業(予算要求など)や、日々発生する危機対応(災害や事故対応)など、置かれた立場に応じて組織内外の関係者とともに様々な業務を行ってきた。この間、数回ほど他の会社への出向等もあったため、公務という特殊な(閉鎖的な)組織の中で専門的なスキルはないものの、オフィスワークに必要な知識や経験として自分自身に身に付いたものはたくさんあった。
一方で、どうしても政治の世界に振り回されることが多く、深夜までの残業は当たり前(残業代は予算の範囲内で全額支払われず)、また、大組織のためいくら経験を積んでも自ら判断して進められる業務は極めて少なく、組織内での調整に大変苦労して身も心も疲弊していた。
8. 転職を決めた理由
在職中、コロナ禍で在宅勤務でのテレワークが多くなり、今後のことを考える時間ができたため業務の合間を見て別業界の仕事を探すようになった。ただ、特に専門分野はなく、いわゆる「何でも屋」として公務の事務職に携わってきた自分は、一体どのような業界に適しているのか、募集案件を見てぼんやりとは考えてはみるもののなかなか本気になれず。
2021年、切りのいい50歳を迎える年となり、転職するには(すでに遅いのかもしれないが)今年が最後で、長年溜まっていた疲れもあり公務での仕事はある意味やり切ったと考え、本気で転職するにはとにかく一旦退職して退路を断つことにした。
一応、家族にも相談したものの、最終的には後悔したくないという自分の思いを優先させてもらった。自分の可能性への期待もあり、公務のような(親方日の丸的な)受けの姿勢ではなく、自ら仕掛けていける民間企業にチャレンジすることとし、生活に身近な食品などを扱う小売業界を目指すことに。
いまの会社は、業界の中ではトップに及ばない存在だったが、近年、他社との統合を繰り返して店舗数を拡大するとともに、様々な先進的な取り組みを積極的に進めていて非常に魅力的に感じられた。
9. 転職活動について (転職成功時の年齢)
49歳
10. 転職活動について (利用した書籍、サービス等)
主に、派遣の仕事に特化した求人情報サイト「エン派遣」を活用し、最初は業界にはこだわらず、自分のスキルで対応可能と思われるオフィスワーク中心の案件に片っ端から(50件以上)応募した。
ただ、案件に応募してもまずは担当する派遣会社への登録が必要で、比較的簡単にWEB登録できたところもあったが、ほとんどの場合は派遣会社(営業所)への直接訪問や、WEBや電話での面談を求められ、自分の年齢や経歴に問題があるのか面談しても登録すらできないこともあった。
また、どこでも同じように自分の経歴などを聞かれるばかりで、その先の具体的な案件の紹介までたどり着けなかった。
11. 転職活動について (詳細)
公務員を退職して1ヶ月ほどリフレッシュしていると、徐々に新たな仕事への意欲も湧いてきたため、まずは負担が少ないアルバイトとして未経験の小売業界をのぞいてみることにした。
また、ちょうどコロナ禍で関連する仕事が数多く募集されており、これこそ困っている人の役に立てることが実感でき、かつ、対人の接客経験にもなることからコロナ関連でいくつかの仕事に携わった。
そして、その時々の同僚から派遣会社の実態など有益な情報を得て、少しずつステップアップするイメージで新しい仕事にチャレンジしていった。
その中で、あるコロナ関連の仕事が期限を迎える前に、ある程度の期間安定して働くことができ、ダブルワークも可能な派遣社員を目指すこととし、「エン派遣」から応募を始めた。
自ら転職を決断した手前、家族も含めて相談した相手は一切なく、サイト上の情報や同僚の経験談のみを頼りに一から全て自分で探し、最終的にいまの仕事に就くまでには半年ほどかかった。
応募してもなかなかその先に進まない状況が続いたときは、多少焦りもあったが、その間も短期の様々な仕事に入って派遣会社からの返事を待ち、良くも悪くも仕事自体は選ばなければいくらでもできることは分かった。
ある派遣会社から小売業界の会社面接に推薦するとの連絡をもらったときは、この時点では唯一進展した案件だったが、いま思えばこれだけで十分だった。
会社面接のために練習はしなかった。前職の退職前の立場では、研修の講師、会議やヒアリングでのメインスピーカーになることが多く、あれこれ考えることなく自分の言葉でいくらでも伝えられるという思いがあったからである。
ただ、会社に提出した履歴書に記載したこれまでの職歴については、当時のことを思い出して振り返り、この会社から求められている人材として自分がアピールできることは何か、という一点だけはよく考えて臨むことにした。会社面接の当日は、特に気負うことなく自然に会話することができ、(その後上司となった)同世代の面接官との相性も良さそうで手応えはあった。
それでも、面接終了後派遣会社の担当者から連絡を受けるまでの時間、このときばかりはさすがに長く感じた。
12. 転職後について
2021年の暮れからいまの会社で勤務を始めたが、奇麗な街にある奇麗なオフィスに移転したばかりで、会社からノートパソコンやスマホが社員全員に貸与され、在宅勤務も一層徹底されるなど、民間企業の柔軟な対応を存分に感じることができている。
役所特有の政治や外部からの圧力がなく、これに伴うストレスは全くなくなった。頭の中で官民双方のメリット、デメリットを自然と比較しながら仕事を進めており、それぞれの業務経験が自らの知見を広げることに大いに役立っている。
ただ、派遣社員としての限界は時々感じることがあり、会社の中で担当業務以外のことも含めて、もっと貪欲に学びたいと思うことがあっても、会議や研修への参加などが限られている。
13. これから挑戦する人へのメッセージ
年齢に関係なく、自分で決断さえすればいつでも転職できます。「やればできる!」。
ただ、いずれ辞めるかもしれない今の仕事でも、一つ一つ丁寧にこなしていくことがとても重要です。この業務経験こそが、どんな業界への転職にも必ず役立つことでしょう。